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醒めない夢

オリジナルBL小説ブログ

ご挨拶、お知らせ、目次など♪

こちらは
麻斗 結椛が運営するオリジナルBL小説ブログ
です。
お立ち寄りいただいてありがとうございます♪
拍手ボタンやランキングバナーへの応援にも、
合わせてお礼申し上げますm(_ _)m
いただいたコメントへの返信は、
お礼ページ に記載しています。

全ての作品は、総合目次からご覧いただけます。
【総合目次】

<最新完結作>
溺愛しすぎるデスティニー(2017/09/19〜9/30)
浅香智秋と春海は仲の良いオメガの兄弟。
兄、春海には、南條清史郎というアルファの恋人がいて、
二人の幸せを心から願う智秋だが……。
全11話。
・以前ブログとfujossyに掲載していた短編を、大幅に内容変更し、長編に作り直しました。
・エブリスタにも掲載しています。


<のんびり連載中>
遠回りの恋 (2017/5/6〜)
雨宿りの恋、スピンオフ。
聖人の親友、奏多の高校時代の物語。
(過去作品を大幅に書き直しながら、エブリスタにて連載中)


<活動場所>
このブログをメインに、以下の小説投稿サイトに
いくつかの作品を置いています。
・エブリスタ
・ムーンライトノベルズ
・fujossy


<お願い事項>
このブログでは18歳以上(高校生含まず)を対象とした男性同士の恋愛小説を掲載しています。
年齢に満たない方、物語の設定や内容に嫌悪や疑念を抱かれる方は、閲覧をご遠慮下さい。
著作権は放棄しておりませんので、無断複製、転載は固くお断りします。
誹謗中傷のコメントは管理人の判断で削除をし、一切反応いたしかねますことをご了承願います。



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清史郎、と或る夜の、独白。(ブログ限定公開)


先日の
清史郎、と或る朝の、独白。(エブリスタ応援特典SS)
で書いた内容と重複しています。

「溺愛しすぎるデスティニー」は
エブリスタとブログで、同時連載したのもあって、
それぞれに特典SSを入れました。

エブリスタはスター5個投下で、
この作品の前編に該当する
「清史郎、と或る朝の、独白。」
という作品が読めます。

ブログは後編に該当しますが、
前編を読んでいなくても、
後編だけでお話が成立していますので、
安心してお読みくださいませ。

それではどうぞ(*^_^*)






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清史郎、と或る朝の、独白。(エブリスタ応援特典SS)

「溺愛しすぎるデスティニー」を
読んでいただいて、ありがとうございました。

ブログとエブリスタで同時連載していたので、
どちらにも御礼SSを追加しました。

エブリスタの方では、
スター5個
応援特典SS「清史郎、と或る朝の、独白。」
が読めるように、設定しています。

→「溺愛しすぎるデスティニー」(エブリスタ版)

ブログの方では、
後編に該当する
「清史郎、と或る夜の、独白。」を、
明日(10/7)、パスワード限定公開します。

パスワードヒントは、
以下の通りです。

ここのブログ名を
アルファベット表記で
入力する。




↑※パスワード付き記事にしていましたが、
ユーザービリティが低下して、
読者さまに負担がかかるのが自分で試してわかったので、
急遽止めました!
お騒がせしてすみません_(_^_)_
いつも通りに読んでいただけます。



良かったらどちらも読んでもらえると、
うれしいです!

よろしくお願いします(*^_^*)




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溺愛しすぎるデスティニー 11(R18)(最終話)

第11話 運命の溺愛(R18)(最終話)

R18表現が含まれています。年齢に満たない方、物語の設定や内容が苦手な方は、閲覧をご遠慮下さい。





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溺愛しすぎるデスティニー 10

第10話 愛おしい



 智秋の怪我は、思いの外、重症だった。
 ナイフはかすめただけでなく、肩に突き刺さった後、無理やり抜かれたので、傷も出血も酷かったらしい。
 智秋は再び入院した。
 個室のベッドに横たわり、見舞いにきてくれた春海に、ようやく今回の事情を尋ねる。 

「清史郎さんが北園を退学させたって、なんで教えてくれなかったんだよ」
「もともと僕が清史郎に泣きついたんだ。北園を痛めつけてほしいって。たぶん清史郎は僕が言わなくてもそうしていたと思う。すぐに清史郎は動いてくれたけど、自分がやったと智秋に言うなと、固く口止めされてた。でも僕も、智秋は真相を知らなくていいと思ったし、一日でも早く智秋に復学してほしかったから……」
「……なのに、結局学校いけないまま、卒業して、ほんと、ごめん……」
「それはいいんだ。僕と清史郎が、勝手にやったことだから」
「……北園は、どうなったの?」
「もちろん逮捕されたよ」
「そう……」
「あれ、智秋、あまりうれしくなさそうだね。あんなヤツ、僕は死刑になっても溜飲が下がらないんだけど」

 智秋は春海の辛辣な言い草に、苦笑いを浮かべた。
 北園に二度も傷つけられたのだから、憤りは感じている。
 一度目は、身体と心、両方傷つけられた。
 二度目の今回は、身体の傷だけで済んだし、清史郎に怪我がなかったのが、不幸中の幸いだ。
 そのせいか、智秋の精神状態は思ったより凪いでいる。

 智秋には、北園の処分よりも、気になることがある。
 
「兄ちゃん、清史郎さんって、ここに来れないほど、仕事忙しいの……?」
「智秋……」

 珍しく春海が口ごもる。
 今日で入院して三日目。
 智秋は救急車で運ばれる時、清史郎は同乗してくれたらしいが、気を失っていて記憶がない。
 事件以来、清史郎は病室に足を運んでくれないのだ。

「株式会社キタゾノは、南条グループの仕入先の一つだ。うちはあいつらの大口得意先で、今、グループ全体で全面取引停止の手続きに入った。そのために清史郎は系列子会社への根回しに奔走しているんだ」
「え……」

 清史郎がまさか本当に報復措置をとるとは、智秋は思ってもいなかった。

「プライベートはともかく、清史郎は冷酷なビジネスマンだ。約束を違えた北園の父親を決して許さない。それは僕も同じだ。あいつらには同情の余地もない。僕の智秋を二度も苦しめて……絶対に許さない」

 春海の表情も言葉も、今までに見たことがないほど、厳しい。
 本気で怒っているのだ。

「兄ちゃん……」
「あ、ごめんね、怖がらせちゃった」

 ぺろっと舌を出す春海は、いつもの優しい兄だった。

「清史郎も智秋に付き添いたいのはやまやまなんだよ。ただ忙しいのと、智秋ががこんな目に合ったのは、自分のせいだってかなり凹んでて、合わせる顔がないって言うんだよ」
「なにそれ……?」
「ほんっと、清史郎ってヘタれなんだよね。どうして仕事みたいに、びしっと決められないかなあ。ここまでヘタれぶりが酷いなんて思わなかった。智秋、僕が清史郎、強制連行してくるから」
「……ちがうよ。俺が呪われたように運がないから、愛想つかしたんだよ、きっと……」

 智秋は地味に真面目に生活しているのに、なぜか不本意な災難に巻き込まれる。
 去年は自殺未遂、今回は傷害事件。
 トラブルメーカーな智秋を、清史郎が見限っても、おかしくない。

「智秋。清史郎は、そんな薄情な人間だと思ってるの?」
「兄ちゃん……」
「清史郎はすごく混乱してるんだ。真面目すぎて、智秋への責任のとり方を履き違えているだけ。心配しなくても、清史郎が智秋に愛想をつかすなんてこと、絶対ないよ」
「ごめん……俺、また、兄ちゃんに甘えてる。元カレと弟との仲を心配させるなんて、どんだけ酷いやつなんだよ……」
「まだそんなこと言うの? 気にしないでって言ってるだろう? 第一、嫌だったら世話焼かないよ。智秋は大事な弟。清史郎は……そうだなあ、色恋の感情がすこんと抜け落ちてしまって、いまや盟友みたいな感じ? とにかく、僕は大好きな二人に、幸せになってほしいの」
「ありがと……兄ちゃん……」

 清史郎が見舞いに来られない代わりに、春海が来てくれている。
 春海も清史郎の秘書ゆえ、分刻みのスケジュールは変わらないので、すぐに会社に戻らなければならなかった。

 帰り際、春海は「あ、そうだ」と何か思い出したようだ。

「多額の慰謝料を北園側が提示してきたんだ。だけど、清史郎の指示で、母さんに決して受け取らないようにきつく言ってるから。一応、智秋も気をつけててね」
「母さん、怒ってなかった? お金もらえないって……」

 智秋の母親は、智秋が刺されたと聞いて、すぐに駆けつけはしたが、「智秋ってほんとツイてない子」と言いのけて、周囲にいた医療関係者や警察関係者を、唖然とさせたらしい。
 春海があわてて苦言を呈したても、暖簾に腕押しだったという。
 智秋はそれを聞いて(確かにそうだから言い返せない)と思ったし、母親に今更同情されたら、逆に落ち着かない。母親の心無い発言に免疫が出来て、怒りすら沸かなくなっている。

「そりゃあ、あの母さんだもん。『向こうがくれるって言ってるのに、なんでもらっちゃだめなのよ!』って、清史郎にすごい剣幕で突っかかってた。でも清史郎が『智秋くんとお付き合いしています』て話したの。そしたら、鳩が豆鉄砲を食ったように驚いてさ。母さんは、清史郎は僕と付き合っているって、ずっと思ってたからね。でも、次の瞬間、満面の笑みで清史郎の説得をあっけなく受け入れたよ。母さんとしては、清史郎の恋人が、僕と智秋、どっちでもいいんだから」

 智秋は話を聞いていて、いたたまれない。
 今更だけど、清史郎に母親の醜態を見られたくなかったし、清史郎と別れた春海を母親が軽んじるのではないかと、気になる。

「なんか……いろいろと申し訳なくなる」
「智秋は何も考えなくていいの。智秋は被害者なんだから。養生して一日でも早く傷を治すのが、智秋の今一番すべきことだよ」
「ん……分かった」

 そう言い置いて、春海は足早に帰っていく。
 話し疲れた智秋は、そのまますうっと眠ってしまう。
 ちょうど目覚めた時、ハルトが見舞いにきた。

「うわっ、痛々しいな!」

 ハルトは右腕に巻かれた包帯を見て、叫んだ。

「大げさに巻いてるから、そう見えるけど、そんなひどくないよ」
「おまえさあ、なんてことなさそうに言うけど、かなりの出血だったんだぞ。マジで死んじまうかもって、相当焦ったんだからな!」

 事件直後、現場に偶然居合わせたのは、ハルトだ。
 仕事が終わり、裏口から出てきた彼は、血だらけの智秋を抱き締めて錯乱している清史郎と、血が滴るナイフを持ったまま立ちすくむ北園を見つけ、警察に通報した。

「今思い返しても、ぞっとするぜ」
「ほんとにありがとう。ハルトくんに、なんてお礼したらいいのか」
「礼なんて要らねえ……あ、でも、おまえの怪我が治ったら、清史郎さんに俺の売上でいっぱいお金落としてもらいたいなあ」
「……それは、俺の口からはなんとも言えないかも……」
「ははっ、それもそうか! でも命に別状なくて、ほんと、よかったぜ」

 冗談めいた口調のハルトが、急に真面目なトーンになる。

「春海さんに聞いた。おまえを刺した男が、おまえを以前、レイプしたって」

 智秋はこくんと頷いた。
 ハルトに知られても、ちっともいやじゃない。
 なぜなら、彼も同じ、オメガ種だから。
 誰よりも、智秋の苦しみに共鳴してくれるはず。

「その男は、二度もお前を傷つけて、一体、何がしたかったんだろうな」
「俺が、オメガだから、かもしれない」
「はあ? なんだ、その理由」
「そいつが言ったんだ。オメガが全て悪い。アルファの自分は悪くないって」
「頭、沸いてんな。ばかくせえ理由。まともに聞くのもあほくさいわ」
「俺もそう思う。けど、俺自身から、理不尽な恨みを買う、何かが出てるのかなって……」
「おい! いい加減にしろよ。なんで、レイプも今回の怪我も、おまえが悪いことになってんの? おまえの悪い癖だ。自信ないふりして、自惚れが過ぎんだよ。調子にのってんじゃねえぞ、どアホ!」

 ハルトが智秋を罵倒する。智秋はその勢いに呆気に取られた。
 
「自惚れてる……?」
「ああ。おまえは悪くない。みんな、そう言うだろ? 春海さんも、清史郎さんも。どうしてそれを信じてやらねえんだ。おまえはオメガである自分を嫌っているみたいだけど、俺らはアルファの子孫繁栄には欠かせない存在だ。あいつらアルファだって、俺らなしでは新たな生命を作ることさえままならない。それなのにオメガを性奴隷だって差別してバカにするあいつらがおかしいって、どうして思えないんだよ!」

 ハルトは泣いていた。

「ハルトくん……」
「ほんっと、お人好しも度がすぎると、嫌味なんだよ。もっと自分本位に生きていいんだっての……ばかやろう……」
「ごめん、ごめんなさい、ハルトくん。俺は悪くない。悪いのは、あいつ、北園だ」
「そうだ。おまえは、おまえのために、おまえらしく生きればいい」

 ハルトの渾身の訴えは、勢いよく大量の水をかけられたほどの衝撃を、智秋に与えた。
 智秋は、こびりついていた思い込みという澱が、綺麗さっぱり洗い流されたような気がする。

 その時、病室のドアがノックされた。

「はい」と智秋が答える。
 スライド式のドアが静かに開いて、その向こうから見えた顔は、亜泉だった。

「亜泉……! どうしたの?」
「浅香が怪我したって聞いて……、取り込み中なら出直すけど」

 亜泉がハルトをちらりと見る。

「チアキ。俺、帰るから、入ってもらえば?」
「ごめん。なんの、おかまいも出来なくて」
「けが人が気使うんじゃねえよ。早く治せよ。じゃあな」

 ハルトは、ドア付近でたちすくむ亜泉に軽く会釈して、退出した。
 亜泉は病室に入らず、廊下をぼうっと眺めている。

「亜泉? どした? 入れよ」
「あ、いや。今の、誰?」
「店の同僚。ハルトくんって言うんだ。すごく綺麗だろ?」
「うん。すげえ美人……でも、男なんだよな? 男にしとくの、もったいないなあ」
「……もしかして、惚れちゃった?」
「ま、まさか! いくら綺麗でも、男は守備範囲外! そ、それより、おまえ、怪我したって、一体どうしたんだ?」

 亜泉は昨日店に電話を入れたと言う。
 智秋のシフトを確認しようとしたらしい。

「おまえはしばらく休みだって言われてさ。こないだあんなに元気そうだったのに、また具合悪くなったのかなって、心配で。高校ん時のダチだって言ったら、怪我して入院してるって言われるしよ。必死に頼み込んで、病院名だけ教えてもらっったんだよ」
「そうだったんだ。まさか、亜泉が来てくれるなんて、思わなかったな」
「詳しいことは知らないんだけど……それ、けっこう重症じゃね?」

 智秋の右肩付近に、亜泉の痛々しいものを見る視線が注がれる。
 キャストは、傷害事件だとはさすがに伝えていないようだ。
 智秋は北園に刺されたことを亜泉に伝える。
 すると亜泉もハルト同様、激昂した。

「あいつ……っ、まじで、クソヤロウだ! そこまで性根が腐ってるとは思わなかった。でもなんで留学先からこっちに戻ってるんだ?」
「留学先でトラブル起こしたみたいで、日本に逃げ帰ってきたらしいよ。店の近くで、偶然俺を見かけて、ストーカーして、あの店にたどり着いたみたいでさ」

 この情報はついさきほど春海に聞いたばかり。
 北園からは覚醒剤反応が検出された。痩せて異様な雰囲気は薬のせいだったのだ。

「でもおかしいな。北園の件、全然報道されてねえぞ?」
「そう……」

 新聞もテレビも見ていない智秋は、何も分からない。

「北園の親父が、金の力で報道はもみ消したのかな。ああ。でも逮捕ぐらいじゃ、怒りが収まらねえ。社会的制裁も受ければいいのに」
「そんな亜泉が怒らなくても……」
「怒るに決まってるだろう! ダチが二度も同じ奴に傷つけられて、黙っていらえるほど、薄情じゃねえよ!」
「ご、ごめん……」
 
 あまりの剣幕に思わず、智秋は謝ってしまう。

「……あ、大声出して、ごめん。刺された上に、俺に怒鳴られたら、たまんないよな」
「ううん。本気で心配してくれるの分かるから、うれしいよ。ありがとな」

 亜泉は長居せず、すぐに帰った。
 智秋の体調を気遣ってのことだ。
 立て続けに三人の見舞客の相手をして、智秋は思ったより疲労していた。
 夕飯は、午後六時。
 食事に半分くらい手を付けて、横になると、すぐに眠気が襲ってくる。
 寝ても寝ても寝足りないのは、身体が思ったより疲弊しているからかもしれない。






「ん……」

 智秋は目を覚ました。
 どれだけの時間、寝たのだろうか。
 ブラインド越しに見える窓の外は、既に暗い。
 中庭の外灯の光が、室内をぼんやりと照らす。
 智秋は自分の傍らに腰掛けている人影に気づいた。

「せいしろう、さん……」

 寝起きの声は掠れて、弱々しい。
 
「智秋。無理して喋らなくていい」

 三日ぶりに聞く恋人の甘い美声に、智秋は感極まり、目元が潤む。 
 智秋は首をかすかに横に振った。

「やっと……来てくれた……」
「智秋……」

 春海は、絶対ここに清史郎を連れてくるという約束を、守ってくれたのだ。

(ああ、きっと、兄ちゃんにめちゃくちゃ叱られたんだろうなあ)

 そう思うと、可哀想で、思わず笑みが溢れる。

「ずっと、待ってたよ……なのに……なんで、なんで……」

 嬉しさと切なさと愛しさで、胸がいっぱいで、うまく言葉が出てこない。
 
「ずっと見舞いにも来ないで、本当にすまなかった」
「ほんとだよ……どんだけ、会いたかったと思ってるの……寂しかったよ……」

 傷は痛み止めのおかげで痛くないが、包帯で固定されていて動かしにくい。
 智秋はその右手をそっと差し出す。
 清史郎の視線が、右肩から上腕部にかけての包帯に注がれる。
 彼は苦しそうにぐっと眉根を顰めた。

「……俺のせいだ。俺が、君を、傷つけた……」

 清史郎は懺悔のように、おそるおそる包帯に触れようとした。

「清史郎さん、そこじゃなくて、手、つなぎたい……」

 智秋は指先をかすかに揺らして、催促する。
 清史郎は少し躊躇するが、智秋の右手に自らの手を静かに重ね、指先をそっと絡めた。

「痛くないか……?」
「うん。平気」

 手のひらから伝わる彼の温もりに、智秋は心が安らぐ。
 ふと、出会った時を思い出す。

「清史郎さん。俺ね、兄ちゃんの恋人として、あなたを紹介された時から、あなたを、好きだったんだ」
「智秋……?」

 清史郎は、智秋の突然の告白に、目を瞠る。

「あなたに会った時、訳の分からない、ふわふわした気持ちになったのを、覚えてる。今思えば、あれが初恋だったんだ。でも子ども過ぎて、全然分からなかった。それに、清史郎さんと兄ちゃん、すごいお似合いだったしね。俺は二人が番になればいいって、最近まで本気で思ってた。だから、あなたを好きだとずっと認められなくて……。ね、あの時、握手したの、覚えてる?」
「ああ。よく覚えている。今より、もう少し小さくて、とても可愛いらしい手だった」
「今ね、あの時と同じ感情が、清史郎さんから流れてくるのが、すごくよく分かる。俺、あなたにあの時からずっと愛されてるんだね。俺もあなたを愛してるよ。清史郎さん、俺の運命の番は、あなたなんだ」

 清史郎は智秋の小さな手のひらを、両手で優しく包んだ。

「なぜ、今、そんなことを言うんだ……智秋」
「それは、清史郎さんが、俺から離れようとしているからだよ」

 包んだ手のひらに、清史郎の額が触れた。
 かすかな震えに、彼の心の慟哭を感じる。

「なぜ、あの時、北園を抹殺せず、国外追放するだけに留めたのか。悔やんでも悔やみきれない。あの男は、反省するどころか、智秋を逆恨みして、一度ならずも二度も傷つけた。全て俺の読みの甘さが原因だ。俺は君を二度も守れなかった。もう君を好きでいる資格すらない……だから」
「違う。違うよ。清史郎さん。あなたは悪くない。あなたが俺を守ってくれていることには、心から感謝している。でもそれじゃ、だめなんだ」

 顔をあげた清史郎の瞳は、潤んでいた。
 打ちひしがれた清史郎が、可愛くて、愛おしくて、智秋の胸はきゅうっと締め付けられる。
 
「俺はもう逃げないって決めた。今回、北園は逮捕されたけど、刑を終えて、再び俺の前に現れるかもしれない。だけど俺は毅然とあいつに立ち向かうんだ。この傷は」

 智秋は左手で包帯にそっと触れた。

「これは、俺が清史郎さんを守った名誉の負傷だ。この傷があるから、俺はきっと、もっと、強くなれるよ。清史郎さんのおかげだ。だから……だから、俺から離れようなんて……言わないでよ……お願い……」

 ぽろぽろとこぼれる智秋の涙を、清史郎が震える指先で拭う。

「智秋、どうか、泣かないで」
「清史郎さんのせいだ。清史郎さんを好きだと気づかせておいて、別れるなんて、絶対に許さないんだからな……」
「俺は、君を好きでいても、いいのか?」
「うん」
「側に寄り添い、恋人と名乗っても?」
「うん」

 清史郎は智秋の目元に静かに唇を落とす。

「ありがとう。智秋、愛している。こんな不甲斐ない俺だが、一生共にいて欲しい」

 智秋は驚きのあまり、声が出せなかった。

「ああ、また先走ってしまったようだ。すまない。君を好きすぎて、すぐに気持ちが溢れてしまう。まだ早すぎるだろうと、怒らないでくれ」
「怒ったりしないよ。もう、嬉しくて、涙、止まらないじゃんか」
「それは俺には朗報だ。いつまでも智秋の目元にキスができる」
「何言ってんだよ……」

 智秋の予想通り、清史郎は、怪我の責任を取って、智秋と別れようとしていた。

 智秋が目の前で刺されたことに、深く、深く、清史郎の心は、傷ついている。
 彼にしてみれば、自分が刺されるほうがましだったろう。
 だがそれは智秋が嫌だった。
 智秋はあの時の自分のとっさの行動を、悔いていない。
 愛する人を傷つけられたくない気持ちは、智秋も同じだ。
 
 だが、身体を張って愛する人を守ったことで、却って彼の心を傷つけてしまった。
 清史郎の心の傷を癒やすために、もっと強くなりたい。
 頼るだけじゃなくて、頼って欲しいのだ。
 目の前の美丈夫は、繊細で、傷つきやすく、とても愛おしい存在だ。
 智秋は、清史郎への愛情の質が、包み込むようなものに変化していくのを、感じていた。




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