醒めない夢

遠回りの恋 あらすじと登場人物

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義兄x義弟。後輩x先輩。選べない恋。高校三年生の氷室奏多は、二つ後輩の古賀悠真に好意を寄せられている。どんなに邪険にしても健気に懐く悠真が気になりつつも、奏多はある男性に決して叶わぬ恋心を抱いていて――。【雨宿りの恋】の主人公、聖人の親友、奏多くんの、揺れる切ない恋物語♪エブリスタで2017/05から大幅に中味を変えて連載中です。2年近くかけて、そろそろ最終回も見えてきたので、1話から少しずつブログに移行してい...

遠回りの恋 01 突然の告白

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「す、好きです。俺と、付き合ってください」 氷室奏多。高校三年生に無事進級した、新学期。 まさか男に告られるなんて、考えてもみなかった。 この日の放課後、新入生向けの部活動紹介イベントが開催された。 奏多はバスケ部の部長だ。 彼は一七〇センチという小柄な体ながら、その俊敏性を活かして、ポイントガードの役割を担っている。 素晴らしい技量を持っており、かなり目立つ存在だ。 だが奏多が人目をひくのは、か...

遠回りの恋 02 一目惚れ

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 高校に入学して数日後の放課後、悠真は同クラの友人に誘われて、体育館に足を運んだ。 部活動勧誘のためのデモンストレーションがあるという。 友人はバレー部に興味があるらしい。 体育館の二階に上り、生徒で混雑する隙間からコートを見下ろした。「あ、今からちょうどバスケ部のが始まるみたいだ。古賀、バスケ部に入るんだっけ?」「あー、うん。そのつもりだけど……」 何気なく見下ろしたコートに、その人はいた。 そこ...

遠回りの恋 03 彼との出会い

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 玄関を開けた途端、楽しそうな声が居間から聞こえてきた。 奏多はぐっと眉根を顰めて無言で二階に上がり、乱暴に自室のドアを閉めた。 きっと今の音で、奏多の帰宅が家族に知れただろう。 大きな音を立てるなんて、まるで子どものヒステリーだと、ますます自分に嫌気がさす。 時計は午後七時を指している。 二階にまで届く朗らかで楽しげな声の主は、七歳年の離れた奏多の姉、梨花だ。 彼女は大手製薬会社に営業職として勤...

遠回りの恋 04 姉の婚約者

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 居間に通された松本は、促されるままに上座のソファに座っている。 彼の隣に梨花、その向かいに父親、母親が腰を下ろした。 奏多は少しでも彼らと距離をとりたくて、ダイニングテーブルの椅子にしぶしぶ腰掛けた。 離れて座ることでこの場に居たくないアピールをを試みても、両親や梨花はそれに全く気づかないし、耳に入ってくる彼らの会話はどうやっても遮りようがない。 だから聞きたくもない二人の馴れ初めは、嫌でも耳に...

遠回りの恋 05 強引な彼

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 おじさんたちと一緒にバスケなんてやってられるか、と行く前までは正直馬鹿にしていた。 しかし終わってみると、意外にも自分も彼らとの時間を楽しんだことに、奏多は気がついた。 社会人になると体を動かす機会が激減し、思うように体が動かないけれど、ストレス解消にはバスケの運動量はちょうどいいのだと彼らは口を揃えて言っていた。 そうやって謙遜するものの、昔取った杵柄で全員それなりのプレーが出来るのはさすがだ...

遠回りの恋 06 初めてのお泊り

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 奏多の泊まりが決まった途端、松本は腰を据えて飲みだした。 ソファテーブルの上には、飲み干したビール缶が数本転がっているというのに、彼はとうとうワインの封まで切ってしまった。 本当に飲み明かすつもりらしい。「飲むか?」とグラスを差し出され、奏多はブンブンと首を横に振った。「俺、未成年ですから」「見かけによらず、奏多は真面目なんだな」「どういう意味ですか?」 むっとして奏多は松本を睨んだ。「悪い意味...

遠回りの恋 07 優しい彼

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 奏多、高校三年生、五月。 新人戦市大会の開催を目前にして、一年生は県大会進出を目指して練習に励んでいる。 土曜日の午前中、体育館にバスケットボールの弾む音と掛け声が響いている。「調子よさそうだな」「ああ、今年はいいとこまで行くんじゃね?」 奏多はコート外から彼らの練習風景を眺めながら、副部長の阿部に話しかけた。 最初十一名だった新入部員は、今は八名。 残るべくして残った彼らは能力もやる気も高いの...