醒めない夢

嫌いになれない幼馴染 01 折れた心

-
看護師の瑞樹は、幼馴染の徹大とルームシェア中。幼馴染以上恋人未満、不安定な関係の2人。そんな中、徹大が女性を家に連れ込んで……。浮気攻めx健気受け。全10話。...

嫌いになれない幼馴染 02 側にいさせて

-
「遅かったな、瑞樹」「シャワー浴びすぎて、逆上せた」「逆上せる程シャワー浴びるなよ、馬鹿だな」「うん……」  長風呂からようやく出てきた瑞樹は、潤が用意してくれた部屋着に着替えていた。 「ほら、水飲め」  ペットボトルを渡され、ソファに座り飲み干す。バスタオルを奪われ、後ろから濡れた髪を潤が拭いてくれる。 「潤くんは優しいなあ」「お世辞言っても何も出ないぞ」  徹大と潤は親友だ。チャラ男の徹大とは違い、...

嫌いになれない幼馴染 03 滲む涙

-
 それからしばらく瑞樹は潤の家に厄介になることにした。  徹大、潤、瑞樹、三人は同郷だが、今は地元を離れている。地元から特急で二時間離れた県外の街に住んでいるのだ。周辺地域の若者達が刺激を求め移り住む、程々の都会。徹大と瑞樹は一緒に住んでいるが、潤は少し離れた所で一人暮らしをしている。現在潤には彼女がいないことは予め確認済なので、間借りしてもとりあえずは問題ない。  騒動翌日の日中、瑞樹は徹大と住む...

嫌いになれない幼馴染 04 告げられない思い

-
 徹大が好きで好きで、瑞樹は高校まで追いかけた。  瑞樹は中学時代、成績が良い優等生だった。しかしランクを一つ落として徹大と同じ高校を第一志望にした。教師、母親には当然考え直すように言われたが、頑なに拒否した。どうしても徹大と同じ高校に行きたかったのだ。 「瑞樹、何で俺んとこの高校、受験すんだよ」「だっててっちゃんのとこの学校のほうが、家から近いし」「おまえ、頭いいけど馬鹿だなあ。それが理由かよ」「...

嫌いになれない幼馴染 05 優しい先輩

-
「瑞樹」「へっ? あっ、俺」「こんなとこで寝て、風邪ひくぞ」  瑞樹は潤に揺さ振られ、目が覚めた。  定時で上がった瑞樹は、夕飯の買い物をしてから潤の家に帰っていた。スーパー以外に寄り道するところもなく、午後六時過ぎには帰宅した。お世話になっている潤のために、苦手な料理を頑張ってみた。とは言え、唯一作れるカレーだが。  作り終えて気が抜けたのか、ソファで居眠りしてしまったらしい。 「カレー作ってくれた...

嫌いになれない幼馴染 06 初めてのキス

-
 瑞樹が絶望したのは、今回が初めてではない。  瑞樹が高校二年生の時、徹大に本命の彼女が出来た。あんなに取っ替え引っ替えして女子と付き合っていた徹大が、他校の女子生徒にマジ惚れしたらしいと噂が流れた。相手は徹大と同じ学年で、近隣お嬢様高校の生徒。絶世の美少女と近辺の高校生で知らない者はいない程の有名人だった。 「て、てっちゃん、彼女出来たって、本当?」  瑞樹はその頃は滅多に使えなくなった幼馴染特権...

嫌いになれない幼馴染 07 思わぬ告白

-
 徹大と同じ高校に行くことは何も言わずに許してくれた母だが、今回はそうはいかないようだった。ずばり指摘された動機に、瑞樹は口を噤む。 「違うよ……俺、本気で看護師になりたいんだ」「看護専門学校ならここにもあるでしょう」「家族に金銭的な迷惑かけないようにする。奨学金もらうし、寮に入るから」  こんな理由では全く説得力がないのは瑞樹は分かっている。しかし家族に迷惑をかけないようにするとしか、瑞樹には言えな...

嫌いになれない幼馴染 08 漏れていた思い

-
 瑞樹は固まった。 ――出てきていいぞ、徹大? 「いつまで隠れてんだ、早く出てこい」  潤が呆れたように声をかける先は、ソファの後ろにあるクローゼット。今まで無音だったそこから、急に人の気配が漂う。中からガタガタと音がして、内側から扉がゆっくりと開く。 「てっちゃん……」  そこには一ヶ月以上ぶりに会えた徹大がいた。 「瑞樹」  久しぶりの徹大の声。ずっと顔を見たかった、声を聞きたかった。 だがその一方、瑞...

嫌いになれない幼馴染 09 恋の病

-
 突然の爆弾発言。 瑞樹は「嘘……」と呟く。 「だって瑞樹、分かりやすすぎる。気持ち、ダダ漏れだったから」  徹大は瑞樹の反応が面白いのか、少し顔がニヤついている。こういう所が瑞樹を馬鹿にしているというのに、嫌いになれない瑞樹は本当に馬鹿である。 「高校の時、一度、キスしただろう?」  瑞樹は放心しながらも頷く。 「俺が地元を離れるって聞いたおまえが泣いて、その姿がすげぇ可愛いかったから、キスしたんだ」...

嫌いになれない幼馴染 10 繋がる気持ち(最終話)

0
 一体どこへ向かうのか。 久しぶりに触れる徹大の体。 もっと触れていたかったが、バイクは思いの外早く目的地に到着したようだ。 「ここ?」  今二人が住むマンションからそれ程離れていない場所。そこは別のマンションの駐輪場だった。 「てっちゃん!」  徹大は何も言わずにマンション入り口に向かって歩き出す。 「てっちゃん、何? ここ、何なのさ」  瑞樹が話し掛けても、徹大は何も言わない。 ――やっぱり怒ってる……...