醒めない夢

Close to you 01

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囁きシリーズ第4弾。就活のため帰省する鳴海。鳴海の地元を初めて訪れた雪野は……。全9話。...

Close to you 02

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今回の旅は、懇意にしている旅行代理店に手配を依頼した。飛行機とホテルがパックになったお得なプラン。仲良くさせてもらっている営業の麻生島が、社割扱いにしてくれた。もちろん自費なので、更に格安な値段は非常に助かる。『お礼は食事を一緒にしてくれるだけでいい』と言う本当に良い人。雪野ももちろん奢るつもりでそれを了承していた。 「麻生島さんに聞いたんですね……」「さあ?」 惚ける桜庭に雪野は呆れるしか無い。しか...

Close to you 03

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入った店はブリティッシュパブ。金曜日の夜、仕事帰りのサラリーマンで賑わっていたが、すんなり座れた。インターンもちょうど中盤。会社での立ち振舞に少し慣れた頃で、また、雪野に会った嬉しさからか。鳴海は浴びるようにビールを飲んでいる。 「そんなに飲んで大丈夫?」「へーき、へーき。だって明日明後日休みだもん」「でも真聡、家に帰れる?」「え?」「この後、家、帰るでしょ?」 雪野の発言に、鳴海が剥れた。 「なん...

Close to you 04

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鳴海の断言通り、雪野は抱き潰された。 「ほんっとにごめん」「だから、謝らなくていいって言ってるのに」 昨日に引き続き、鳴海は雪野に陳謝し続ける。 「だって起き上がれねぇじゃん、メグ」「ん……もうちょっとしたら起きれるから」 そうは言ってみたものの、腰と尻の痛みはなかなか引きそうにない。でも今日は真聡の地元に行く約束にしているのだ。 「無理すんなよ。家に帰るのは遅くなってもいいんだし。着替えてすぐ出るから...

Close to you 05

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さっきの綺麗な女の子。鳴海があの子と、ここで。 「メグ、怒った? ここでしたりなんかしないよ、冗談だってば」「うん」「怒ってない?」「大丈夫、ちょっと、苦しくなっただけ」「よかったあ、急に離れるからどうしたのかと思ったよ」 過去を否定しないなんて、嘘。鳴海が関わった女性全てに嫉妬している。でもそんな見苦しい気持ちは絶対に見せたくない。年上らしく毅然としていたい。 「そろそろ下に降りようか」「やべ、俺...

Close to you 06

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「ちげぇ、おまえなんか、元カノでもねぇし」「ひどぉい。聞いて下さいよ、ユキノさん」 初対面なのに、波希は雪野の腕に手を絡めた。どうやら他意はなく人懐こいだけのよう。しかし女性に触れられた経験がほとんどない雪野はひどく動揺した。 「真聡ね、昔から冷たいんですよぉ。私、高校生の時彼女してたんだけど、何回別れたりくっついたりしたか分からないんですから。浮気がとにかく酷い男なんですぅ」「そ、そうなんだ。それ...

Close to you 07

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「涼太郎? あ、うん。えっ? ははっ……」 雪野の横で樹村と話す鳴海が、『少し待って』とアイコンタクトを送ってくる。それに薄く微笑んで雪野は了解の意思を表す。 今日鳴海が雪野と過ごしている事を、樹村は知っていて電話をかけている。一昨日、強い悪意を樹村から感じていた雪野は、嫌な予感をせずにはいられない。 そんな雪野の心中を察する事ない鳴海がスマホから顔を離して、雪野に話しかけた。 「涼太郎がさ、メグと3人...

Close to you 08

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「うん、そうだね。俺も楽しかった」 名残惜しいがここでお別れ。駅まで見送ると雪野は言ったが、余計に寂しくなるから来なくていいと、ホテルの部屋でさよならする事にした。 「今月末に向こうに帰るから」「うん」「連絡毎日する」「無理しないでいいよ、これから忙しいだろ?」「ううん、毎日一回でもメグの声聞かない方が無理」 最後に再び軽いキスを交わし、鳴海は部屋を出た。 軽い音を立てドアが閉まる。廊下は絨毯張りなの...

Close to you 09 (最終話)

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「なっ……」 鳴海は言葉に詰まった。波希は鳴海と雪野の関係に気付いているのか? 「あっ、今なんで分かったのって思ったでしょ、雪野さん。分かるよぉ〜、だって真聡、雪野さんのこと『メグ』って呼んでたし。束縛感凄かったもん」 そう言えば真聡はいつもの呼び名を波希の前で使っていた。雪野は今更それに気付いた。 「あ、あの」「気付いた時はびっくりしたよぉ。だってあの傲慢真聡が雪野さんにメロメロなんだもん」 ーーメロ...