醒めない夢

インビジブル 01

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夜香蘭の雫、214話から最終話までの、和也目線サイドストーリー。全17話。...

インビジブル 02

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 退職を決めたのは、莉絵子と和解した直後だった。 決断後の行動は素早く、すぐに建築設計に特化した人材紹介会社に登録した。 蓄えはあるからしばらく無職でもいいかとのんびりかまえていた時、旧友から連絡をもらった。 大手ゼネコンに勤務する大学時代の同級生で、来春結婚するらしく、その報告と披露宴へのお誘いだった。 懐かしさから話し込んでいるうちに、求職中だと口を滑らせたところ「うちが懇意にしている設計事務...

インビジブル 03

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 あの後、逃げるように聖人の元から帰って来た。 時間がたつにつれ、あの時の受けた衝撃がじわじわ現実味を帯びて、それは孤独という恐怖に変化した。 たった一年とはいえ、聖人に夢中だった。 真弓を捨てて、数人のセフレともすっぱりと手を切って、彼だけをいちずに愛していたのだと、己の意外なけなげさに驚いた。 今まで経験したことがないほど、寂しくて、心細くて、どうしても一人で過ごせそうにない。 だが気軽に誘え...

インビジブル 04

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 飲み始めてから、どれくらい時間がたっただろうか。 ワインの空瓶が数本、ローテーブルに乱雑に並んでいる。 空きっ腹では悪酔いするからと、途中でチーズの盛り合わせを出してくれたものの、少ししか口をつけていない。 和也は酔に任せて愚痴を吐露し、隣に座る芹野はワイングラスをくゆらせながら、静かに耳を傾けていた。「俺じゃあ、駄目なんだ」「うん」「聖人にあんな、幸せそうな笑顔をさせてやれない」「そうか」 ま...

インビジブル 05(R18)

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性的描写が入ります。R18表現が含まれています。年齢に満たない方、物語の設定や内容が苦手な方は、閲覧をご遠慮下さい。...

インビジブル 06(R18)

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R18表現が含まれています。年齢に満たない方、物語の設定や内容が苦手な方は、閲覧をご遠慮下さい。...

インビジブル 07

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「ああ……もう、おまえ、激しすぎ……俺、途中で死ぬかと思った」「本当に申し訳ない。大丈夫か」 カーテンの隙間から差し込む月明かりは青く、色疲れでぐったりとうつぶせに横たわる芹野の白い背中を、その色で染めている。 疲れたと連呼する彼の、透き通るように美しい肌に触れて、慰めたかった。 だがこれ以上触ると、余計に怒りを買うのは想像に難くないから、言葉でひたすら謝った。 リビングで互いに再び達した後、寝室に場...

インビジブル 08

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 ――嫌がらせに決まってるだろう。 てっきりそう答えると踏んでいたら、彼から出てきた言葉は、想定外の愛の告白だった。 和也は絶句した。 揶揄っているのか? いや、きっとそうだ。そうに違いない。「うふふ、ぐるぐる悩んじゃってさ。どうせ冗談だって思ってるんだろう? でも嘘じゃないからね」 芹野は和也の動揺を心から楽しんでいる風で、悪趣味なこと、この上ない。「俺を……好き……って……そんなこと……」 鵜呑みにでき...

インビジブル 09

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 芹野の回答はまたもや、和也の予想を大きく裏切った。「涙を飲んで諦めた広瀬を、ころっと落とした聖人に強烈に嫉妬した。聖人は絶世の美少年で、愛されるにふさわしい子だけど、だからってそんな簡単に広瀬をあげられない。だから騙して寝たの。あの子の性格なら、きっと罪悪感でおまえから離れていくのは分かってたしね。案の定その通りになった。あのまま、広瀬が真弓と結婚しちゃえばいいのにって、本気で願ってたよ」 芹野...

インビジブル 10

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 目を覚ますと、隣に芹野の姿はなかった。 カーテンのない窓から降り注ぐ光は、昼頃を示す強い色合いだ。 ぐっすり寝入ったおかげで疲れはなく、すっきりした心地で体を起こした時、「起きたのか?」 濡れ髪の芹野が薄グレーのトレーナーにジーンズとラフなスタイルで、颯爽とドアを開けた。「広瀬もシャワーしたら? その間にコーヒーいれとくよ」と促され、和也はバスルームに向かった。 熱いシャワーを浴びてリビングに戻...