醒めない夢

Confession 第一部 あらすじと登場人物

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橘聖人は、両親の不仲が原因で小学校卒業と同時に祖父母に引き取られた。以降大切に育てられるが寂しさは拭いきれない。聖人の類まれな美貌は幼い頃から周囲から人を遠ざけ、それは中学校入学後も変わらなかった。「一人でいい。誰も僕に構わないで」そう思っていた聖人の前に現れたのは……。「雨宿りの恋」主人公聖人の中学時代の物語。【雨宿りの恋】は こちら からお読みいただけます♪01 02 03 04 05 06 07 08 09 101...

Confession 01 プロローグ

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 聖人は幼少の頃から不思議に思っていたことがあった。 なぜ父が家に帰ってこないのか。 なぜ母は聖人とおしゃべりしたり遊んだりしてくれないのか。 聖人の父親は会社経営が生業だった。いつも忙しく留守がちではあったが仕事だけが不在の理由ではなかった。聖人の母親は食事、洗濯、身の回りの整頓など専業主婦として最低限の家事をし、聖人の面倒は見るがそれは衣食住に限ってのことだった。 父母共に家庭の外に愛人がいた...

Confession 02 新しい環境

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 「あきちゃん、朝よ。起きなさい」 祖母・洋子が聖人の部屋のカーテンを開けた。 「はーい・・・」 聖人は眠たい目を擦りつつ、ベッドから起き上がろうとした。 「今日は本当に一人で大丈夫?」 「うん。もう中学生だもん。入学式くらい一人で大丈夫だよ」 この日は中学校の入学式だった。 門出を祝うように天気は快晴で、カーテンを開けた窓から入る陽射しが眩しかった。 洋子は祖父・和夫と共に、入学式に付いていかな...

Confession 03 出会い

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 入学初日から中学生活に絶望した聖人であったが、意外と順調な学校生活を送っていた。 中学生くらいになると美しすぎる聖人は男子からはいじめの対象にはならず、どう接したらいいのか分からない存在となっていた。クラスの中にとりたてて仲の良い子はいないが、意地悪もされず聖人はほっとしていた。 祖母・洋子も聖人の中学生活を心配していた。 「あきちゃん、誰かに意地悪とかされてない?」 「うん、されてないよ」 「...

Confession 04 仲直りとラーメン

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 聖人の手を振り払ってから伊織は美術室へ行けなくなった。 どう考えても自分が悪いのは分かっていて、でもどうして手を振り払ったのか自分でも分からず、それ故に聖人に合わせる顔がなかったのだ。 聖人に会えなくなって一週間。 学年が違うため校内ですれ違うことさえない。伊織が出向かないと聖人には会えないのだ。 聖人に会いたい、でも合わす顔がない。 いくら大人びていてもまだ15歳。自分の取るべき行動が分からない...

Confession 05 キス事件

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 「聖人、お前夏休みどうすんの?」 「先輩、その前に期末考査がありますよ」 伊織はお察しの通り勉強は苦手だ。将来は家業の工務店を継ぐつもりで、高校は私立の工業高校を受験する予定だが、それほど偏差値は高くないので楽勝と思っている。 「分かってるよ。それが終わった後だよ」 「はい、僕は夏休み前半は学校の夏期講習に出ます」 塾などに行かない生徒のために、学校側が夏休み前半10日間、午前中のみ自由参加の夏期...

Confession 06 キャンプ

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 夏休みが三分の一過ぎた頃。 夏期講習が終わり、伊織と聖人は一緒に遊ぶ計画を立てた。 キャンプ、プール、花火大会。聞けば聖人はこの中の一つも経験したことがないという。 最近では伊織も聖人の家の事情が薄々分かってきていた。これほどいろんな経験がないこと、祖父母に育てれていること。きっと親からあまり大切にされないで育てられたのだと思った。何も知らない聖人に伊織はいろいろと教えてやりたかった。 「先輩・...

Confession 07 プール1

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 キャンプの次はプールだった。 電車で1時間程の場所に大型レジャープール施設があった。そこに伊織の学校の仲間と一緒に行くことになった。 待ち合わせは駅のコンコース。 キャンプは伊織の家族だったのでそれほど緊張しなくてすんだが、今度は伊織の友人たちだ。聖人は伊織と一緒にいることが多いが、それは放課後だけだった。日中はそれぞれ別行動だったため、聖人は伊織の友達をよく知らない。見た目からだとちょっと怖い...

Confession 08 プール2

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 夏休み、快晴の平日。家族連れより若者が圧倒的に多かった。休日よりは人混みが緩和されていて流れるプールもスムーズに流れに乗る事が出来た。 聖人は山下、清水、そして2年の和泉と一緒に行動していた。持ってきた大きなボート型の浮き輪に四人でぶら下がったり、誰かがボートに乗ったり。聖人は初めての流れるプールに興奮していた。他の皆も聖人が楽しそうにしているのが小さな子供みたいで可愛いと思っていた。伊織の後輩...

Confession 09 花火大会1

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 いよいよ夏休みも終わりに近づいてきた。 夏休み最後のイベントは花火大会。 街の真ん中に大きな池と小高い丘を持つ市民公園があり、そこで毎年盛大な花火大会が催される。それに聖人と一緒に行こうと伊織は計画していた。 そして今回は誰も誘わず、聖人と二人で行くと決めていた。 瑠璃にはプール以降会っていない。ケータイにちょくちょくメールが入るがお誘いはのらりくらりと躱していた。「勉強が忙しい」と受験生の特権...