嫌いになれない幼馴染SS「花火」

麻斗結椛

診断メーカーからお題。超短編。

今日の徹大と瑞樹:棚の奥からいつのものか分からない花火セットが出てくる
#同棲してる2人の日常
https://shindanmaker.com/719224



 以前瑞樹とルームシェアしていた部屋は、俺の女癖の悪さが原因で引き払い、新居に引っ越し、あらためて恋人として生活を始めて、数ヶ月が経った。

 瑞樹を好きだと意識して初めての、夏だ。
 恋人としての思い出が残るイベントを催したい!

 抱き合って、とりあえず互いに性欲を満たした夜。
 ピロートーク中に、俺は瑞樹に、ある計画を打ち明けた。

「え……てっちゃんと、旅行?」
「おう。一泊二日だけどな。もう予約済みだ。昼は海でめいっぱい泳いで、夜は温泉に入ろうぜ」

 俺は美容師。瑞樹は看護師。
 互いにシフト制だから、一月前までなら予定は合わせやすい。
 夏休みはもともと一緒に取る予定だったが、旅行はサプライズだ。

 オンシーズンの時期。旅行代理店に勤める知人に無理を言って、予約の取りにくい高級温泉旅館に、予約をねじ込んだ。もちろん社割扱いで。
 実は知人というのは、女性で、俺の元セフレ。
 そいつとはしばらく身体の関係が続いたが、当時全く恋愛感情はなかったし、そいつのサバサバした性格のおかげで、今では普通に友人として付き合っている。

 瑞樹と楽しい夏休みを過ごすためだったら、使えるモノは元セフレでも使う!
 俺にやましい気持ちが全くないから、出来る技だ!

「うわあ……てっちゃんと旅行なんて、初めてだ。うれしいよ……ありがとう」

 ふわっと喜ぶ瑞樹は、めちゃくちゃ可愛い。俺はきっとデレデレにニヤけているはずだ。
 こいつを好きと気付いてから、俺はどこか壊れてしまった。
 好きが溢れて、止まらない。

「でも」
「どうした?」  
「あ、あの、こんな、幸せで……いいのかな? なんか、バチあたりそうで……怖いなあって」

 瑞樹を大事にしたい気持ちとは裏腹に、俺の過去の悪事は、いつまでも引きずって、こんな風に瑞樹に寂しい顔をさせてしまう。

 こいつの気持ちにはだいぶ以前から気付いていたし、俺もこいつだけはずっと特別な存在だった。
 それが恋愛の好きだと、気づけなかっただけで。

 同性同士で恋愛できるという概念が、俺に皆無だったのが、原因だ。

 瑞樹は本当に可愛いし、性格はいいし、素直だし、真面目だし、普通にモテる。
 今まで男女ともに何もなかったのが、奇跡に近い。
 実際、俺の親友の潤がずっと瑞樹を狙ってたと知ったのはごくごく最近で、タイミングがずれてたら、あいつにかっさらわれるところだった。

 俺って、ほんと、バカ。
 失いそうになって、ようやく、気づくなんて。
 でも、マジで、失わなくてよかった……。

 瑞樹、好きだよ……。

「どうしたの? てっちゃん」
「ふへ?」
「ぼんやりして……眠くなったの?」
 
 いつの間にか、空想の中で瑞樹に愛を囁いていて、気がついたら、仰向けに寝転ぶ俺の顔を、瑞樹が覗き込んでいる。

「いや……あのさあ、瑞樹、バチとか言うなよ。なんか寂しいじゃんか。俺は瑞樹に楽しい夏をプレゼントしたいだけなんだ」
「ん……分かってる。ありがとう。ごめんね、暗いヤツで」
「暗い瑞樹も、めちゃくちゃ可愛いけどな」
「てっちゃん……」

 俺がデレて、瑞樹の頭を撫でると、恥じらいながら、うれしそうに、俺の肩に頭を乗せてくる。

 最近ようやく甘えるのにも慣れてくれて、俺がめちゃくちゃうれしいなんて、おまえは全然知らないんだろうな。

「ねえ、花火、できるかな」
「花火? ……どうだろう」

 海と宿の距離は、離れていない。
 瑞樹のリクエストなら、夜、花火をしに浜辺に行くのは、全然やぶさかではない。

「昔、よくしたじゃない? てっちゃんちの庭で」
「ああ……そうだな」
「俺ね、だいぶ前に買った花火、使う機会逃しちゃって、ずっと取ってあるんだ。それ、持っていこうよ!」
「てか、シケってないか?」
「あ、そうか……」
「まあ、その時は新しいの買えばいいさ」

 幼馴染としての瑞樹との思い出は、たくさんある。

 俺と瑞樹んちは、隣同士。
 瑞樹の父親は早くに亡くなって、母親が看護師をしながら、瑞樹と瑞樹の姉である巴南(はな)を女手一人で育てた。

 うちも母親はフルタイムで働いてたけど、ばあちゃんがいつも家にいたから、瑞樹や巴南は、自宅じゃなくて、俺の家に入り浸っていた。

「てっちゃんと、やす兄ちゃんが花火をぶんぶん振り回して、いつもおばあちゃんに怒られてたよね」

 俺には泰成(やすなり)という二歳上の兄貴がいる。
 巴南とは、同級生だ。

「俺と兄貴だけじゃなくて、巴南もだろ。おまえだけしなかったじゃん。俺らは、めたくそばあちゃんに怒られてんのにさ。瑞樹は、ばあちゃんに怒鳴られたことなんて、ないだろ?」
「うん。おばあちゃんはいつも俺に優しかったよ。でも花火は、怖かったから振り回さなかっただけで……」
「瑞樹は、昔からほんと、いい子だったよなあ……」
「それって、あんまり褒め言葉じゃない!」
「瑞樹?」
「つまんないヤツって言われてるみたいで、いやだ!」

 瑞樹は拗ねて、俺の肩に顔を伏せる。

「んなこと、誰も言ってないだろ。ほら、顔あげろって」
「んーっ!」

 暗くても拗ねても可愛いなんて、俺はそうとう瑞樹にヤラれている。
 だがしつこく意地を張るので、めんどくさくなって、ひっくり返してやった。

「うわ!」

 突然組み敷かれて、瑞樹が目をくりくりさせている。
 俺は、そんな瑞樹を見下ろす。

 華奢な身体。色白の肌。
 さっき愛したばかりのそこには、俺の残した痕が、あちこちにちらばっている。
 過去抱いた女たちのような柔らかみは一切ないのに、俺は瑞樹の身体に夢中だ。今後女に目移りすることはないだろう。

 こいつの身体はあつらえたかのように、俺に馴染んでいる。
 ふと、ベターハーフという単語が、俺の脳裏を横切った。

 もしかしたら、瑞樹は俺の半身かもしれない……。
 
「瑞樹がつまんないはずないだろ。俺をこんな風にするのは、どこのどいつだっての」

 俺は下半身の昂ぶりを、瑞樹のそれに押し付ける。

「あ……」と恥じらいながら感じる瑞樹に、ますます唆られて。
 可愛い瑞樹が、またたく間に、エロい瑞樹に変わる。 

 瑞樹が俺の首に抱きつき、耳元で「てっちゃん、もう一回、して……」と誘う。

 俺もたまらず強く抱きしめ返して、深くなるばかりの互いの甘い吐息が、闇に蕩ける。
 これから過ごす夏に、恋人としての楽しい思い出を刻みつけていきたいと願いながら……。




 遠回り、雨宿り、囁きと
 3シリーズで短編を書いたので、
 幼馴染も書いちゃいました。

 あんまりお題に沿っていないような
 気がしますが、
 花火というキーワードをねじこんで、
 むりやりがんばりました!

 ていうか、
 徹大と瑞樹のイチャラブが
 書きたかっただけという……。

 この二人も
 付き合うまでが長かったですが、
 付き合いだしてからは
 ラブラブなので、
 安心してみていられます(*˘︶˘*).。.:*♡

 新作を書いてるのですが、
 なかなか筆が進まないので、
 息抜きを兼ねた、短編でした。

 読んでくださって、
 ありがとうございますっ_(_^_)_





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Posted by麻斗結椛

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