I wish for 09 (最終話)

麻斗結椛

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 ※ ※ ※



 伊織は激しく落ち込んだ。
 もっと優しく抱きたかったのに。
 聖人がイキすぎて気を失っても、己の欲望が止まらず、気絶してもなお、蹂躙し続けてしまった。
 意識はなくとも、時折甘い声をあげる聖人。
 彼の色気に唆られて……なんて、言い訳だと分かっている。
 あらためて聖人の魔性っぷりに恐れ入るばかりだ。
 くたりと横たわる聖人からは、健やかな寝息が聞こえてくる。
 よかった。抱き潰して殺してない。
 常夜灯の橙色の明かりに照らされた聖人の裸体。
 あまりにも艶めいていて、性懲りもなく身体が反応しそうになるが、今日はだめだと己を内心叱りつけた。
 ささっとTシャツと下着を身に着け、慌てて温かいタオルを用意する。
 聖人の身体を丁寧に拭いて、中出ししてしまった後孔から吐き出したものをかき出す。
 聖人が「あん」など悪魔の喘ぎ声をあげても、心を鬼にして後始末を粛々と実行する。
 早くパジャマを着せないと、聖人が風邪を引いてしまう。
 急いで新しいパジャマを着せた。
 伊織の布団に大判のシーツを事前に敷いておいたので、布団を濡らさずに澄んでいる。
 濡れてしまったそれを剥がし、洗濯機に放り込んだ。
 明日、洗濯しなければ。
 すやすやと寝入る聖人をそっと抱き上げて、聖人の布団に移し、その横に伊織も潜り込む。
 聖人の寝顔が眼前にある。
 どれだけ見ても飽きない。
 歳を重ねても愛らしさは全く衰えない。
 それでも中学生の頃より大人っぽくはなっているが、寝顔は相変わらず幼いまま。
 あの頃、何度か一緒のベッドで寝たことを思い出す。
 たった一年。
 聖人とともに過ごした時間は本当に短い。
 離れていた年月のほうが断然長いのだ。
 共に過ごせなかった年月をこれから取り戻したい。
 こんなにも愛おしい存在を、長年思うだけで過ごしてきた自分を褒めてあげたい。
 よく我慢したなと。
 もう絶対に手放すものか。
 
「聖人、愛してる」

 何度告げても言い足りない、愛の言葉。
 眠っている聖人は聞こえていないというというのに、答えるかのようににこりと微笑んだ。
 可愛らしい寝息をたてている聖人の頬に、そっと口づけを落とし、甘えるように身を寄せる彼をぎゅっと抱き締めた。 

 聖人の甘い温もりが、伊織を眠りに誘う。

 二人きりで過ごす、二度目のクリスマス。
 中学生の頃、まさかこんな日がくるとは思っていなかった。

 来年も再来年もその先も、聖人とこの日を迎えたい。
 
 夢現に願うのは、そればかりだ。 


 
 the end



最後までお付き合いいただいてありがとうございました。
クリスマス当日に最終話を更新できて良かったです。
皆様もステキなクリスマスをお過ごしください(*^^*)




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Posted by麻斗結椛