俺のつれないヴァンパイア 01

麻斗結椛

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平凡大学生x謎の美形。不思議な同居生活。短編。全5話。



(マジでキショイ! どうして俺がこんな目に合わなくちゃなんねえんだよ!)

 宮脇真之輔。大学二年生。二十歳。
 髪は短く少し童顔だが、中高と陸上部で鍛えた身体は精悍そのもの。駅から徒歩十五分の道のりをダッシュで家に向かうなんて、現役を退いた今でもなんてことない。だが。

(こんな目に会うのも、あいつのせいだ! まじで今日は追い出してやる)

 今、真之輔を突き動かすのは、噴火寸前の怒りだった。
 
「ルーカス! いるんだろ! 隠れてないでさっさと出てこい」

 親元を離れて一人で暮らしている、1Kの賃貸マンション。
 玄関ドアを乱暴に開け、ドスドスと足をならして短い廊下を横切ると、すぐに辿り着く狭い部屋の、誰もいない空間に向かって、真之輔は大声を張り上げた。

「……どうしたの? 真之輔。大声は近所迷惑だよ」 

 ベランダのドアが、からからと外側から開いて、ひょこっと顔を出したのは、長めの金髪が眩しい、隻眼の超美形の男性だ。
 ルーカス・フランソワ、と名乗るこの男。
 洗いざらしのTシャツにジーンズを着ているだけなのに、モデルばりにかっこいいのだが、実はヴァンパイアだ。
 今だってベランダから現れたのも、神出鬼没の彼がどこかふらふらと彷徨っていたのを、真之輔の怒鳴り声を聞きつけ、慌てて戻ってきたに違いない。

「どうしたもこうしたもねえ! 今日こそは勘弁ならない! 全部、おまえのせいだ! うちから出ていけ!」

 誰もが振り返るほどの美貌の持ち主であるルーカスに、真之輔は一切遠慮はしない。
 リュックを乱暴に床に落として、強気に詰め寄る。
 だが悲しいかな、真之輔のほうが身長が五センチ低いせいで、見上げる形になるのが悔しくて、ますます苛々してしまうのだが。

「真之輔。ちょっと落ち着こ? ね?」

 困ったように微笑みながら、ルーカスが細い指で真之輔の二の腕を優しく撫でる。
 ルーカスはどんなに真之輔が悪態をつこうと、絶対に怒らない。
 だがそれは当然だ。彼は真之輔に楯突ける立場ではないのだから。

「おまえなんか、助けるんじゃなかった……情け心を出したあの日の俺をマジで恨むわ」

 一月前、瀕死の状態で路地裏に倒れているルーカスをたまたま見つけたのが真之輔だったのだ。



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Posted by麻斗結椛