俺のつれないヴァンパイア 03

麻斗結椛

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「また、吸うのかよ。吸血鬼は一週間に一回吸えば言ってたくせに」

 一昨日、吸われたばかりだというのに、本当に腹をすかせているのか、ルーカスが舌舐めずりしながら、顔を近づけてくる。

「真之輔が美味しそうだから、つい食べ過ぎちゃうの。君には美味しいご飯、ちゃんと準備しているよ。だから君の晩御飯前に、先に私にごちそうをくれないか?」
「おまえの食事は安上がりでいいな」
「何を言ってるの。君は最高級の体液の持ち主だよ。偶然とはいえ美味な君に出会えて、私は本当に幸せだよ……」

 頬にキスされ、ルーカスの柔らかい唇がするすると首筋に降りてきて、かぷりと甘噛される。
 
「……っ」

 真之輔が怯えたように身を竦めると、ルーカスがふふっと小さく笑った。

「……本当にいいの?」
「てめえ、嫌だって言ってもするくせに……んぅ!」

 首筋に痛みが走り、真之輔は眉をぎゅっとひそめる。
 痛覚は僅かにしかない。だが次の瞬間、噛まれた部分から血が失われる感覚と同時に、身体を淫らに震わせる甘い感覚に包まれるのだ。
 ベッドに押し倒されても、真之輔に抵抗する気力は既にない。
 吸われ続けて、すうっと気が遠くなり、身体ががくがくと震えて、甘い喘ぎ声が漏れる。

「あっ……もう……やめろって」

 下半身はすっかり反応している。
 これ以上続けられたら、触れずに達してしまう。 
 やばいと思った時、首筋からすうっとルーカスの牙が抜けると、拒絶の言葉とは裏腹に、物足りなさを感じた。
 ルーカスは満足そうな顔で、口元を手の甲で拭っている。

「今日は特に美味しかったあ……ありがとね、真之輔」
「……また明日男に痴漢されたら……てめえ、ただじゃおかねえ」

 真之輔はルーカスに血を吸われるようになって以来、想定外の悩みを抱え込んでいる。
 それは男から秋波を注がれるようになってしまったこと。
 ルーカスが言うには、ヴァンパイアに血を吸われた副作用として、フェロモンが増幅するという。
 女性にモテるのであれば全く文句はないが、真之輔は同性を惹き付ける体質になってしまったらしいのだ。男女どちらに好かれるかは吸われた本人の体質に依存すると教えられた時、思わず真之輔は叫んでいた。

(俺は女の子がいいんだ!)

 大学で同級生の男から告白された時は目ン玉が飛び出るほど驚いたが、その後同性からの痴漢被害が頻発するようになってからは、たびたび同性に告られることへのハードルは一気に下がっている状態なのは、どうかと思う。
 だからといって男と付き合うなんて血迷ったことはしないし、身体を性的目的で触れられるなんて、おぞましいだけだ。

「ね、真之輔。これ、私がなんとかしてあげようか?」

 ルーカスが平然と真之輔の股間に手を置いた。



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Posted by麻斗結椛