Dear my devil 第1話(05)

麻斗結椛

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「わお。タロウくん、豪快な脱ぎっぷり。でも思った通り、かなり華奢だねえ」

 他人に裸を晒すことになんら抵抗はない。
 ただいくら食べても太れない細身の体型は、真桜のコンプレックスで、それを指摘されるのは男としてかなり悔しかった。

「それにしても、色白だと思ってはいたけどさ、身体は日に晒されない分、抜けるように白いね。もしかして外国の血、入ってたりする?」
「……さあ、知らないです」

 真桜が物心つく頃前に両親は別れているので、真桜は父親を知らない。写真すらないからだ。
 真桜の顔は母親に瓜二つな一方で、彼女は普通の日本人並みの肌色で、そこは全く似ていない。
 父親はクオーターかもと思いつつ、母親に尋ねる機会も意識もなかった。

「あー、でも華奢だけどガリガリってわけじゃないのか。腕とか、こことか、きれいな筋肉ついてるし」

 石倉が真桜の二の腕と腹を指先でぬるりと撫でた。
 途端、背筋に悪寒が走る。

「細マッチョってほどでもないけど、あんまり貧弱だと興ざめだし、うん、ちょうどいい体型だ」
「はあ……どうも」

 去年は町工場でかなりハードな仕事を経験して、現在清掃のバイトはかなり体力を使うので、知らぬ間に筋肉がついたのかもしれない。身体の変化に気づかないくらい、真桜は己に無関心なのだ。

「じゃあ、このままジーンズも脱いでよ」
「……は?」
「え、だめ?」
「だめっていうか……その」

 さっき二万プラスされたせいもあって、思わず欲の皮が突っ張っる。ごねればもっと貰えるのではないかと。
 伺うような眼差しを石倉が読み取ってくれたのか「じゃあプラス一万」と先に金額を切り出された。
 さっきより少額なのが悔しくて「……二万……がいいんだけど」とダメ元で値上げ交渉してみた。
 石倉は呆れたため息を吐きながらも「君、相当がめついねえ、ま、そういう子、きらいじゃないけど」と、二万増加を約束してくれた。
 ジーンズを脱いだ真桜は、今まで腰をかけていたベッドに横たわるよう指示され、素直に従う。
 いつの間にか石倉の手にはカメラが握られていて、空いた手で真桜の身体をやわやわと撫で回し始めた。
 正直鳥肌が立ちそうなほど気色悪いが、時給六万、と念仏のように心の中で唱えているうちに、悪寒が遠のいていく。
 だが指先が胸の尖りに触れた途端、体験したことのない甘い刺激を感じて、思わず背筋がびくんとのけぞった。

「あ……」  
「可愛い反応。ここ、感じる?」
「……ちが……くすぐったいだけだ……」

 くすくすと石倉が笑いながら、真桜の胸を指先で転がし、強く摘んだりと愛撫を繰り返すせいで、次第にじんじんと痺れて、身体の奥底に官能の疼きが溜まり始めた。

 普段乳首の存在を意識したことすらない。
 女の子がこの部位で性的に感じることは、中学時代、同級生のエロ話から耳で学んでいたが。

「あんっ……」

(うわ、俺、男なのに、どうして?)

 自分から発せられるとは思えないほどの甘いあえぎ声に驚いて、慌てて口元を両手で押さえた。

「君さ、抱かれる素質あるよ。ここだけでイケちゃいそうじゃん」

 左右の乳首を交互にいじられるたびに、自分の意志とは関係なく、びくんびくんと小さく跳ねる身体に戸惑う。

「もう、やだ……そこばっかり触んなってば」
「どうして? 女の子みたいに感じてるくせに」

 真桜は恥ずかしさのあまり、きゅっと唇を噛んだ。
 口先の拒絶とは裏腹に、身体は石倉の愛撫を受け入れているではないかと。




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Posted by麻斗結椛